教員からの転職は、大きな決断です。教員を辞めたいけど辞め方がわからない人は多くいます。退職の手続きや必要な準備について、不安を感じてしまいます。この記事では、教員が退職する際の手続きの流れや注意点をまとめました。記事を読めば、退職の手続きを円滑に進められ、新しい人生につながる準備ができます。
退職手続きの基本的な流れは、退職の意思を伝え、退職願の提出から始まります。ポイントを押さえて退職し、退職後の生活に向けた公的手続きも忘れずに行いましょう。
退職手続きの基本的な流れ

退職手続きの基本的な流れの理解は、円滑な退職をするうえで重要です。退職手続きの基本的な流れを以下で解説します。
- 退職の意思を伝える
- 退職願を提出する
- 業務の引き継ぎをする
- 保護者や地域の関係者へ挨拶する
退職の意思を伝える
退職の意思を伝えることは、転職をするうえで重要です。上司や人事部門に直接会って伝えるのが基本です。退職理由を簡潔に説明し、退職希望日を明確に伝えましょう。退職の意志を伝える際の具体的な手順は以下のとおりです。
- 上司や人事部門との面談設定
- 退職理由の説明
- 退職希望日の伝達
- 引き継ぎや残務処理の相談
退職の意思を伝える際は、感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。退職願の提出方法や必要書類についても確認すると安心です。同僚や部下への伝え方は、上司と相談してください。噂が広まる前に自分から伝えるようにしましょう。退職の意思を伝えるタイミングも重要です。
月末や年度末など、学校のスケジュールを考慮して最適な時期を選びましょう。退職後の連絡先を伝えるのも忘れないでください。退職後も必要に応じて連絡を取れます。
退職願を提出する
退職願を提出する際の注意点を以下にまとめました。
- 書き方と必要な情報を確認する
- 退職の意志や退職日、退職理由を明記する
- 感謝の言葉を添える
- 提出先と提出方法を確認する
- 退職予定日の1〜2か月前に出す
- 学校指定のフォーマットで作成する
- 提出後、上司や人事部門と面談する
- 退職願のコピーを保管する
- 受理を確認する
退職願には退職の意思表示や予定日、退職理由や署名と捺印を記載しましょう。ポイントを押さえると、後々のトラブルを防止でき、円滑な退職が可能です。
業務の引き継ぎをする

業務の引き継ぎは、退職する際の重要な作業の1つです。円滑な引き継ぎを行うと、後任者や同僚の負担を軽減でき、スムーズに業務を継続できます。引き継ぎを効果的に行うには、計画を立てましょう。担当業務の棚卸をし、重要な情報や手順を文書化してください。
後任者への説明会や研修を実施すると、より丁寧です。進行中のプロジェクトの状況整理や重要な連絡先リストの作成も忘れずに行いましょう。共有ファイルやデータの整理と引き継ぎも重要な作業になります。未完了の仕事については、処理方法を決めておきましょう。
引き継ぎ漏れを防ぐため、チェックリストを作成し、上司とともに引き継ぎ完了の確認を行ってください。適切な手順を踏むと、スムーズに業務の引き継ぎができ、退職後も職場に迷惑をかけずに、気持ちよく新しい環境へ移れます。
保護者や地域の関係者へ挨拶する
保護者や地域の関係者への挨拶は、退職時に不可欠です。長年築いてきた信頼関係を大切にし、円滑に業務の引き継ぎを行うために欠かせません。関係者への連絡は、状況に応じて電話やメール、訪問などから選びます。どの方法を選んだとしても、感謝の気持ちを伝えることが重要です。
長年のお付き合いへの感謝を述べ、今後の関係性についても触れましょう。挨拶内容は、以下を参考にしてください。
- 退職の報告
- 後任者の紹介
- 引き継ぎ状況の説明
- 今後の連絡先や窓口の案内
情報を明確に伝えると、保護者や地域の関係者の不安が和らぎ、スムーズに引き継げます。個人的な関係者には、別途挨拶を検討してください。新しい勤務先の情報など、機密事項の取り扱いには十分注意します。退職の挨拶は、上司や人事部門と相談しながら進めましょう。
職場の方針に沿った対応を心がけると、トラブルを回避できます。
退職時に職場に返却するもの

退職時には、学校の所有物である物品を返却する必要があります。一般的に返却すべきものを以下にまとめました。
- 健康保険証や教職員証
- 学校から貸与された備品や資料
- その他返却が必要なもの
健康保険証や教職員証
健康保険証と教職員証の返却は、退職時に必ず行いましょう。重要な資産のため、適切に扱う必要があります。健康保険証は退職後に使用できなくなるので、必ず返却してください。教職員証は機密情報を守るために返却が必要です。返却のタイミングは、通常退職日当日か前日です。
破損や汚れがないか確認し、受領書をもらってください。返却忘れに気をつけましょう。万が一紛失してしまった場合は、すぐに学校に報告してください。返却後は、新しい健康保険への切り替え手続きを忘れずに行いましょう。医療サービスを継続して受けるためにも、迅速な手続きが重要です。
職場から貸与された備品や資料
職場から貸与された備品や資料の返却は、退職時の必須項目です。学校の資産を適切に管理し、情報セキュリティを守るうえで欠かせません。返却が必要な備品や資料は、以下のとおりです。
- パソコンやタブレット
- 携帯電話
- USBメモリやハードディスク
- 教材や指導書
- 生徒の個人情報を含む資料
- 鍵(教室や職員室など)
返却の際は、データの削除や初期化を行うなど、適切な処理をしてから返しましょう。生徒の個人情報を含む資料は、漏洩のリスクを防ぐために細心の注意を払ってください。制服やネームプレート、名刺なども忘れずに返却しましょう。学校や教育機関の一員としての身分を示すものなので、退職後は使用できません。
返却漏れがないよう、貸与されたものをリストアップし、上司や人事部門と確認しながら進めると安心です。適切な返却手続きを行うと、円滑な退職につながります。
その他返却が必要なもの
パソコンやスマートフォンなどの電子機器は必ず返却してください。学校の重要な情報が含まれる可能性があるためです。返却が必要なものの一例は以下のとおりです。
- 公用車や駐車場の鍵
- 社員割引カード
- 学校名義のクレジットカード
使用していたシステムのアカウントやパスワード情報も忘れずに返却しましょう。各関係者の連絡先リストや顧客情報、マニュアルや機密文書なども返却が必要です。名刺や社印も学校の所有物なので、忘れずに返却してください。教職員宿舎や寮などを利用した場合は、鍵の返却も必要です。
退職時のトラブルを防ぐためにも、確実に返却してください。
退職時に職場から受け取るべき書類

退職時には、職場から受け取るべき書類がいくつかあります。今後の就職活動や生活に必要な書類なので、忘れずに受け取りましょう。受け取るべき書類の一例を以下で解説します。
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 退職証明書(希望する場合)
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、退職時に職場から受け取る重要な書類の1つです。雇用保険に加入していたことを証明するため重要です。雇用保険被保険者証に記載されている情報を以下にまとめました。
- 氏名
- 生年月日
- 被保険者番号
- 被保険者期間
雇用保険被保険者証は、失業給付を受ける際に欠かせません。次の就職先に提出する必要があるので、大切に保管してください。もし紛失してしまった場合でも、ハローワークで再発行できるため、心配はいりません。ただし、再発行の手続きには時間がかかる場合があるので、紛失しないよう注意しましょう。
保管期間は退職後3年間です。近年では、マイナンバーカードを使ってオンラインで確認・取得ができるため、より便利になりました。
年金手帳
年金手帳は、基礎年金番号が記載された重要な書類です。退職時に職場から返却されるので、必ず受け取りましょう。年金加入履歴を証明する大切な書類です。転職先の会社に提出する必要があるため、紛失しないよう大切に保管してください。万が一紛失してしまった場合でも、年金事務所で再発行できます。
年金手帳の役割は以下のとおりです。
- 基礎年金番号の確認
- 年金加入履歴の証明
- 転職先への提出
- 自営業開始時の国民年金手続き
マイナンバーカードがあれば年金手帳の代わりになります。60歳以上の場合は、年金手帳ではなく年金証書が発行されるので注意してください。
源泉徴収票

源泉徴収票は、教員が転職する際に必要不可欠な書類です。前年の給与所得と源泉徴収税額が記載されるため、確定申告や年末調整の際に重要です。源泉徴収票は、退職時または翌年1月末までに職場から発行されます。複数の学校や教育機関で働いていた場合は、それぞれの職場から受け取りましょう。
紛失しても、以前の勤務先に連絡をして再発行を依頼できるため安心です。税務署への提出や自身の所得証明として使用できるので、大切に保管しておきましょう。退職後の確定申告や、各種手続きには欠かせない書類になります。源泉徴収票があれば、新しい職場での手続きがスムーズに進みます。
離職票
離職票は、教員が退職する際に必要な書類です。雇用保険の受給資格を証明するものであり、失業給付を受けるために欠かせません。離職票には離職票-1と離職票-2の2種類があります。離職票-1は学校が保管し、離職票-2は教員に渡されます。離職理由や勤務期間、給与などの情報が記載されている書類です。
教員が離職票を受け取る時期は、退職日から1か月以内です。学校が作成し、ハローワークに提出します。ただし、すぐに受け取れない場合もあるので、学校に確認すると安心です。離職票は再就職活動や転職の際にも使用するため、大切に保管しましょう。紛失した場合は、学校に再発行を依頼してください。
離職票の内容に間違いがあれば、すぐに学校に直してもらいましょう。離職票は教員の退職後の生活を支える大切な書類です。退職時には必ず受け取り、間違いがないか内容をよく確認してください。
退職証明書(希望する場合)
退職証明書は、労働者が希望する場合に発行される書類です。在職期間や業務内容、退職理由などが記載されます。転職活動や次の就職先での手続きに役立つため、発行の依頼をおすすめします。退職証明書の発行は、在職中に依頼しましょう。ただし退職後でも請求できます。
法律で定められた項目以外の記載は求められません。退職証明書の発行は正当な理由なく拒否できないので、安心して依頼してください。退職証明書の発行手順は以下のとおりです。
- 人事部門に依頼する
- 必要情報を伝える
- 発行期間を確認する
通常、退職証明書は無料で発行されます。ただし、複数枚や再発行を希望する場合は有料になる可能性があるので注意が必要です。職場の判断で勝手に発行されることはないため、必要な場合は自分から依頼しましょう。
退職後に必要な公的手続き

退職後には、いくつかの重要な公的手続きが必要になります。必要な公的手続きは以下のとおりです。
- 健康保険の切り替え
- 年金の切り替え
- 失業保険の申請
- 住民税や所得税の手続き
健康保険の切り替え
健康保険の切り替えは、退職後の生活を守るために重要な手続きです。退職後は、国民健康保険への加入が一般的であり、市区町村の窓口で手続きを行います。健康保険任意継続制度の利用も検討できます。一定期間前の会社の健康保険を継続できる制度です。被扶養者の場合は、配偶者の健康保険に加入もできます。
新しい職場に就職する場合は、健康保険に加入します。健康保険の切り替え手続きは以下のとおりです。
- 前職の健康保険証を返却する
- 新しい保険証を受け取る
- 高額療養費制度を申請する
- 傷病手当金を申請する
- 保険料の支払い方法を確認する
高額療養費制度の申請は必要な場合に行い、傷病手当金の申請は条件を満たす場合に行います。健康保険の切り替えには期限があるので、できるだけ早めに手続きを行いましょう。
年金の切り替え
教員を退職すると、年金制度の変更が必要になります。第1号被保険者への変更手続きを行いましょう。手続きは、お住まいの市区町村の国民年金窓口で行えます。手続きの際には、年金手帳と退職日のわかる書類を持参してください。厚生年金から国民年金への切り替えが完了します。
保険料の納付方法も選択しましょう。納付は口座振替やクレジットカード、現金納付から選択できます。ただし、経済的な理由で保険料の納付が難しい場合は、免除や猶予制度を利用できる可能性があります。免除や猶予制度についても、窓口で確認しましょう。
手続き完了後は、国民年金保険料の納付を開始してください。定期的に年金記録を確認し、適切な管理が重要です。将来の年金受給に向けて着実に準備を進められます。
失業保険の申請

失業保険の申請は、退職後の生活を支える重要な手続きです。失業保険の申請手続きはハローワークで行い、公立学校、私立学校、非常勤教職員で異なります。それぞれの手続きに必要なポイントを押さえ、適切に進めましょう。
公立学校の場合は、地方公務員共済に加入している場合、失業保険の代わりに退職手当が支給されるケースがあります。勤務先で支給条件を確認し、不明点はハローワークに相談してください。私立学校の教職員は雇用保険に加入している場合が多く、一般的な失業保険の申請手続きが適用されます。
以下の書類を持参し、ハローワークで手続きを行いましょう。
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 身分証明書
- 印鑑
- 通帳
申請後は7日間の待機期間があり、退職理由によっては3か月の給付制限がある場合があります。勤務時間が週20時間以上で、雇用保険に加入している非常勤教職員の場合は、私立学校と同様の手続きが必要です。加入していない場合は、地域の福祉制度や再就職支援制度を確認してください。
基本手当の支給期間は、離職理由や被保険者期間によって異なります。申請後は4週間ごとに失業認定を受けながら求職活動を行いましょう。再就職手当や教育訓練給付金を活用することで、スキルアップや早期再就職が期待できます。詳細はハローワークで確認してください。
住民税や所得税の手続き
住民税や所得税の手続きは、退職後に必ず行いましょう。適切に行うと、税金の納付漏れや過払いを防げます。手続きに必要な手順は以下のとおりです。
- 住所変更届の提出
- 住民税の納付方法を確認
- 退職所得の源泉徴収票を確認
- 住民税の徴収方法を変更
- 所得税の還付申告を確認
住民税の納付方法の変更には注意が必要です。退職前は給与から天引きされていた住民税も、退職後は自分で納付する必要があるため、忘れずに手続きを行いましょう。退職金に対する所得税の精算も重要です。退職金は一時所得として扱われるため、確定申告が必要になる場合があります。
不安な点がある場合は、税務署に相談してください。手続きを適切に行うと、退職後の税金関連のトラブルを防げます。
退職手続きに関するよくある質問

退職手続きに関する疑問や不安を解消するため、よくある質問と回答をまとめました。
- 退職前に確認すべき学校の就業規則は?
- 退職手続きを円滑に進めるコツは?
- 退職後の生活にお金はいくら必要?
退職前に確認すべき職場の就業規則は?
退職前には職場の就業規則を確認しましょう。スムーズに退職手続きを行ううえで、重要です。就業規則には、退職に関するさまざまな規定が記載されるので、必ず確認してください。就業規則で確認するべき項目は以下のとおりです。
- 退職に関する規定
- 退職金
- 有給休暇の取り扱い
- 競業避止義務や守秘義務
- 退職後の健康保険や年金
事前に確認すると、退職時のトラブルを防げます。就業規則の内容がわかりにくい場合は、人事部門に直接質問してください。退職金の計算方法や有給休暇の取り扱いなどは、注意が必要です。金銭面に直結するので、しっかりと理解しましょう。
競業避止義務や守秘義務に関する規定も重要です。規定に違反すると、法的な問題に発展する可能性があるので、十分に注意してください。退職後の健康保険や年金の取り扱いについても確認すると安心です。退職後の生活に大きく影響するので、事前に把握しましょう。
退職手続きを円滑に進めるコツは?
退職手続きを円滑に進めるコツは、早めの準備と丁寧な対応にあります。円滑に進めるために欠かせない項目を以下にまとめました。
- 上司や人事部門への相談
- 退職の意思表明
- 引き継ぎ資料作成
- 挨拶
- スケジュール立案
退職金や未払い給与の確認も忘れずに行いましょう。退職後の保険や年金の手続きについても事前に調べると安心です。ポイントを押さえれば、スムーズに退職手続きが進行します。
退職後の生活にお金はいくら必要?
退職後の生活に必要なお金は、個人の状況によって異なります。一般的な目安として月額15〜20万円程度の生活費が必要です。退職後の生活を安定させるには、半年〜1年分の生活費を貯金として確保しましょう。
3〜6か月程度の転職活動期間を想定して資金を準備したり、突発的な出費に備えて予備費を確保したりすると安心です。退職金がある場合は、活用方法を慎重に検討しましょう。失業保険の受給可能性と金額を事前に確認すると安心です。
生活費を抑えるには、固定費の見直しと削減が効果的です。副業や資産運用を検討すると、収入源を増やせます。退職後の生活設計には、家族の理解と協力が欠かせません。ライフスタイルの見直しと調整を行い、無理のない計画を立てましょう。
まとめ

教員が退職する際は、退職の意思を伝え、退職願の提出から始まります。業務の引き継ぎや挨拶を行い、円滑な退職を心がけましょう。退職時には健康保険証や教職員証、貸与された備品などを学校に返却してください。雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票などの重要書類は職場から受け取りましょう。
退職後は、健康保険や年金の切り替え、失業保険の申請や税金関連の手続きなど、公的な手続きも忘れず実施してください。手続きを適切に行うと、退職後の生活をスムーズに始められます。退職の際は就業規則をよく確認し、職場のルールに従って手続きを進めると、トラブルを抑制できます。
退職後の生活費についても、計画的に準備しましょう。ポイントを押さえて退職手続きをすれば、教員としてのキャリアを円満に締めくくり、次のステップに向けて前向きに進めます。
» 教員を退職する理由|辞めるべきかの判断基準を解説!
» 教員を辞めたい理由とキャリアプランを解説