転職を希望する教員の中には、履歴書の書き方に悩む人が多くいます。長年教育現場で過ごしてきた方にとって、一般企業への転職は大きな決断です。この記事では、教員が履歴書を書く際の項目別の書き方から注意点まで詳しく解説します。
記事を読めば、教員経験を活かした魅力的な履歴書の作成方法がわかり、自信をもって転職活動に臨めます。強みを活かした履歴書を作成し、より自分らしい働き方を実現しましょう。
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【教員向け】履歴書の基本情報の書き方

履歴書の基本情報の書き方として以下を押さえましょう。
- 日付や住所、氏名の書き方
- 写真の貼り方と選び方
日付や住所、氏名の書き方
履歴書の基本情報は、採用担当者への第一印象となる重要な部分です。日付は西暦で統一し、住所は都道府県から番地まで省略せずに記入します。市区町村までのフリガナを忘れずに付けましょう。数字は「1丁目1番地1号」のように、算用数字を使って記入します。
メールアドレスは誤読を防ぐため、数字やアルファベットを明確に区別できるブロック体で書きます。「0(ゼロ)」と「O(オー)」「1(イチ)」と「l(エル)」など、紛らわしい文字には注意が必要です。長いアドレスは2行に分けて書くと見やすくなります。
写真の貼り方と選び方
履歴書に貼る写真は、第一印象を左右する重要な要素です。適切な写真を選び、正しく貼ると好印象を与えられます。写真選びのポイントは以下のとおりです。
- 3か月以内に撮影した証明写真を選ぶ
- スーツ姿で自然な表情を心がける
- 背景は無地で明るい色を使用する
- 髪型や化粧は控えめにする
- サイズは縦4cm×横3cmを使用する
写真の裏面には氏名を記入し、のりでしっかりと貼り付けます。右上の指定された位置に貼り、写真の端がはみ出さないよう注意しましょう。プロの写真スタジオを利用すれば、自然な表情で好印象な写真の撮影が可能です。
【教員向け】履歴書の学歴・職歴の書き方

履歴書の学歴・職歴の書き方を、以下の項目に分けて紹介します。
- 公立学校での職歴
- 私立学校での職歴
- 学校名や学科・学部名が変わった場合の書き方
公立学校での職歴
公立学校の職歴は、正規教員と講師では記載方法が異なります。正規教員として採用された場合は「○○県教育委員会 教諭として採用」と記入しましょう。詳細な学校名や校種については、職務経歴書への記載が一般的です。教諭の場合、退職時は「一身上の都合により退任」と書きます。
講師として勤務した場合は「○○県教育委員会 臨時的任用教員として任用」と記載します。期間満了で終了する場合は「任期満了」、途中で辞める場合は「退職」と書きましょう。異動の多い公立学校では、学校名を記載すると履歴書が煩雑になるため、教育委員会での採用・任用を中心に記載します。
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私立学校での職歴

私立学校での職歴は、正式な法人名と学校名を記載する必要があります。私立学校の職歴で記載すべき内容は以下のとおりです。
- 学校法人名と学校名
- 雇用形態
- 採用から退職までの期間
- 担当教科や主な役割
- 部活動顧問などの付加的な役割
正規教員の場合は「専任教諭として採用」と記載します。講師の場合は「常勤講師として採用」や「非常勤講師として採用」と記載します。退職時は「一身上の都合により退職」と書きましょう。私立学校は各校で採用試験を実施するため、学校ごとの採用・退職の明確な記載が重要です。
学校名や学科・学部名が変わった場合の書き方
学校名や学部名が変更された場合、現在の名称と旧名称を併記する必要があります。卒業後に名称が変更された場合は「○○大学(旧:△△大学)○○学部」のように記載します。学部名が変更された場合も同様に「○○学部(旧:△△学部)」と書きましょう。
在学中に名称が変更された場合は、入学時の旧名称と卒業時の新名称を明記します。学校の統廃合を経験した場合も、現在の学校名を記載した後に括弧書きで旧学校名を併記します。廃校となった場合は、当時の学校名をそのまま記載してかまいません。
【教員向け】履歴書の免許・資格欄の書き方

教員免許や資格は、転職時のアピールポイントになります。応募する職種に関連する資格を中心に記載すると、より効果的なアピールが可能です。
教員免許の正式名称と正しい書き方
教員免許は、種類と教科を組み合わせて正式名称で記載します。正式な記載方法は以下のとおりです。
- 高等学校教諭一種免許状(教科名)
- 中学校教諭一種免許状(教科名)
- 小学校教諭一種免許状
- 特別支援学校教諭一種免許状
- 養護教諭一種免許状
免許状の種類には専修免許状や一種免許状、二種免許状があります。中学校・高等学校の免許状には必ず教科名を記載しましょう。免許を更新した場合は「令和○年更新講習修了」と記載します。教員免許は運転免許証よりも上に記載してください。
複数の免許がある場合の書き方

複数の教員免許を持っている場合は、上位の免許から順に記載します。専修免許状、一種免許状、二種免許状の順に書き、同じ種類の免許は校種別に記載します。中学校・高等学校の英語科の免許を持っている場合も「高校→中学」と上位の免許から記載してください。
特別支援学校の免許状がある場合は、領域も明記します。養護教諭や栄養教諭の免許状も種類と取得年月を記載しましょう。スペースが足りない場合は別紙に記載し、本文中に「別紙参照」と書きましょう。
取得見込みや更新の予定がある場合の書き方
教員免許の取得見込みや更新予定がある場合は、以下のように記載します。
- 大学在学中の場合:「取得見込み」
- 更新講習を受講中:「更新講習受講中」
- 更新予定の場合:「更新予定」
- 準備段階:「取得準備中」
取得見込みや更新予定の場合も、免許の正式名称で記載しましょう。取得時期が確定している場合は年月も記載します。通信教育や科目等履修生として免許取得を目指している場合は明記してください。免許の有効期限が切れている場合は記載せず、更新後に履歴書に記入します。
【教員向け】履歴書の志望動機・自己PRの書き方

教員から一般企業へ転職する際は、教育現場で培った経験やスキルの効果的なアピールが重要です。履歴書の志望動機・自己PRの書き方を詳しく解説します。
志望動機の構成とポイント
志望動機を書く際に意識すべきポイントは、以下のとおりです。
- 企業研究の内容を反映させる
- 教員経験を活かせる点を強調する
- 具体的な貢献方法を提案する
- 転職理由を前向きに説明する
- 企業の成長に寄与する意欲を示す
志望動機は転職理由の説明ではなく、企業の理念や事業内容への共感を示す機会です。教育現場で培った指導力やコミュニケーション能力が、企業でどのように活かせるかを具体的に説明しましょう。企業の課題解決に向けた提案や、新しい価値創造への意欲も盛り込むと効果的です。
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自己PRの構成とポイント
教員としての経験は、多くの企業で求められるスキルと結びついています。自己PRでは、具体的な実績をアピールしましょう。生徒指導で培ったリーダーシップや保護者対応で磨いたコミュニケーション能力などが挙げられます。「平均点を20%向上させた」など、数値化できる成果があれば、より効果的です。
教育現場での経験について、企業目線を意識したアピールも大切です。学校ごとに設定された教育目標を達成するために教員同士が協力した経験は、チームマネジメントのスキルとしてアピールできます。
【教員向け】本人希望記入欄の書き方

本人希望記入欄には、希望する勤務条件を具体的に記載します。ただし、条件を限定しすぎると選考の幅が狭まる可能性があるため、柔軟性をもたせた記載が重要です。
希望条件の伝え方
希望条件は具体的かつ現実的な内容を心がけましょう。勤務地は「○○県内」や「○○市内」のように地域を特定し、転勤の可否も明確に示します。希望職種は「教育関連の営業職」「人材育成・研修担当」など、教員経験を活かせる職種を中心に記載しましょう。通勤時間は「1時間以内」のように具体的な目安を示します。
入社可能時期は学期末や年度末を考慮して設定してください。「令和○年4月1日以降」のように明確な時期を示せば、企業側も採用計画を立てやすくなります。重要な条件がない場合は「貴社規定に従います」と記載すれば、柔軟な姿勢を示すために効果的です。
記入例と注意点
本人希望欄は、職務経験や年齢に応じて内容を調整して記入しましょう。20代の場合は柔軟性を重視し「首都圏での勤務希望、教育関連職種」程度の簡潔な記載にとどめます。30〜40代の場合は「○○県内、転勤不可、通勤は1時間以内」のように具体的な条件を示しましょう。給与条件は原則として記載を避けます。
企業側との信頼関係を築いてから、面接時に慎重に交渉してください。「特になし」の記載は避け、何らかの希望は必ず記入しましょう。空欄のままにすると、熱意が伝わらない可能性があります。
教員が履歴書を書くときに注意すべきこと

教員の履歴書作成で注意が必要な点は、以下のとおりです。
- 誤字脱字を確認する
- 見やすいレイアウトにする
誤字脱字を確認する
履歴書の誤字脱字は、致命的なミスになる可能性があります。確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 時間を置いて複数回校正する
- 学校名や企業名は正確に記載する
- 漢字の使い方を再確認する
- 句読点の位置を見直す
- 第三者にチェックを依頼する
作成直後の確認だけでなく、一度時間を置いてから再度確認してください。固有名詞や数字は慎重にチェックしましょう。同音異義語の使い分けにも注意が必要です。文章を声に出して読むと、不自然な表現や誤りを発見しやすくなります。信頼できる第三者に確認してもらうと確実です。
見やすいレイアウトにする
履歴書の見やすさは、採用担当者の第一印象を大きく左右します。文字は適度な大きさで、丁寧に書きましょう。年月日や学歴・職歴の書き始めはそろえ、縦のラインを意識して記入します。行間や余白にも気を配り、全体的にバランスの取れたレイアウトを意識してください。
パソコンで作成する場合は、フォントの種類や大きさを統一します。手書きの場合は、鉛筆で下書きをしてから清書すると綺麗に仕上がります。訂正印は極力使わず、間違ったときは書き直しましょう。履歴書は折り曲げずに専用の封筒で提出し、外見の美しさにも配慮してください。
教員の履歴書の書き方に関するよくある質問

教員の履歴書の書き方に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 手書きとパソコンはどちらが良い?
- 職歴の空白期間はどう書く?
- 教員免許がない場合の書き方は?
手書きとパソコンはどちらが良い?
手書きとパソコン、どちらで履歴書を作成するかは企業の募集要項に従ってください。指定がない場合は、応募する業界の特性を考慮して選びます。教育関連企業では手書きが好まれる傾向にありますが、IT企業やベンチャー企業ではパソコン作成が一般的です。
手書きの場合は誠意が伝わりやすく、文字の丁寧さで好印象を与えられます。パソコンの場合は読みやすさと修正のしやすさが魅力です。どちらを選んでも、内容の正確さと見やすさを重視しましょう。
職歴の空白期間はどう書く?

職歴の空白期間は、期間中の過ごし方を簡潔に説明します。育児や介護のために休職していた場合は「育児のため休職」「家族の介護のため休職」と記載します。資格取得や海外留学など、自己啓発の期間だった場合は、内容を具体的に記載しましょう。
» 教員の休職制度や手続き、復職への準備を徹底解説
病気療養の場合は「療養のため休職」と書き、詳細は面接時に説明します。空白期間は隠さず、どのように過ごしたか、前向きな説明が重要です。面接では空白期間の説明を求められる可能性が高いため、合理的な説明ができるよう準備しましょう。
ただし、言い訳がましくならないように長い説明は避け、簡潔な記載にとどめてください。
教員免許がない場合の書き方は?
教員免許を持っていない場合でも、教育に関連する経験や資格を効果的にアピールできます。記載すべき内容は以下のとおりです。
- 教育支援員としての経験
- 学習支援や指導経験
- 教育関連の資格
- ボランティア活動の実績
- 教員免許取得に向けた計画
学習塾や教育関連企業での経験は、教育に対する理解と情熱を示す重要な要素になります。英検やTOEICなどの語学資格、情報処理関連の資格など、教員免許以外の資格を積極的にアピールしましょう。教育に関する研究やプロジェクトの経験があれば、具体的に記載すると効果的です。
まとめ

教員から一般企業へ転職する際は、履歴書の書き方が重要なポイントです。教育現場での経験を企業目線で言い換え、自分の強みとして効果的にアピールしましょう。履歴書は形式的な書類ではなく、自分の魅力を伝えるための重要なツールです。
誤字脱字のチェックやレイアウトの見やすさにも気を配り、丁寧に作成してください。志望動機や自己PR欄では、教育現場で培った経験やスキルを具体的に示し、企業での活躍イメージを明確に伝えましょう。
» 教員を辞めたい理由とキャリアプランを解説