【公務員は失業保険をもらえない?】理由や退職手当のもらい方を詳しく解説!

  • 教員として長年働いてきたが、転職を考えている
  • 失業保険がよくわからない
  • 退職後の生活に不安がある

公務員の場合、一般の会社員とは異なるルールがあるため、注意が必要です。この記事では、公務員の失業保険と退職手当について、詳しく解説します。記事を読めば、退職後の生活設計や転職の計画を立てやすくなります。

公務員に支給されるのは、失業保険ではなく退職手当です。退職手当の額が失業保険の額を下回る場合は、差額を受け取れます。

目次

公務員は失業保険を受け取れない

公務員は失業保険は受け取れません。代わりに退職手当を受け取れます。退職手当の金額は、在職期間や退職理由によって異なります。課税対象である点や自己都合退職の場合は、減額されるため注意しましょう。期間雇用職員や非常勤職員は、失業保険の対象となることがあります。

公務員が失業保険を受給できない理由

公務員は、公務員特有の雇用形態と退職後の支援制度があるため、失業保険を受給できません。失業保険は、民間企業の労働者が失業した際の生活支援を目的とした制度です。公務員は民間企業の労働者とは異なり、国家や地方自治体が雇用主なので、安定性が高い職種です。

民間企業で働く人は、雇用保険に加入すると、失業時に一定の条件を満たせば失業保険を受給できます。公務員は職務中に雇用保険には加入していません。失業保険の代わりに、勤続年数や退職理由にもとづいて計算される退職手当が支給されます。

公務員共済組合を通じて、退職後も医療補助や貸付制度などのサポートも受けられます。

公務員が失業保険について知っておくべきこと

公務員が失業保険について知っておくべきことは以下のとおりです。

  • 失業保険とは公的保険制度の一つ
  • 失業保険の加入対象者と受給要件
  • 失業保険の給付額と給付日数

失業保険とは公的保険制度の一つ

失業保険は公的な保険制度の一つで、失業した人の生活を支え、再就職を支援する制度です。失業保険の特徴は以下のとおりです。

  • 強制加入の保険制度
  • 労働者と会社が共同で保険料を負担
  • 失業時に一定期間給付金を受給
  • 求職活動が条件

失業保険でもらえるお金の額は、働いていたときの給料をもとに計算されます。もらえる期間は、年齢や保険に入っていた期間によって変わります。職業訓練などのサービスも利用可能です。

失業保険の加入対象者と受給要件

失業保険を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険の被保険者
  • 離職前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること
  • 労働の意思と能力
  • 積極的な求職活動
  • 失業状態
  • 65歳未満
  • 就労可能な健康状態

離職理由が倒産・解雇等の場合は、被保険者期間が6か月以上になる可能性があります。定年退職や自己都合退職は3か月の給付制限期間があるため、注意しましょう。

失業保険の給付額と給付日数

失業保険の給付額と給付日数は、離職前の賃金や年齢、被保険者期間によって決まります。基本手当日額は、離職前の賃金の50〜80%で、給付日数は90〜360日の範囲です。45歳以上65歳未満で被保険者期間が20年以上の場合、最長で360日の給付が可能です。

特定受給資格者の場合は、一般の離職者よりも給付日数が長くなります。自己都合退職は、3か月の給付制限期間があります。早期に再就職した場合は、再就職手当金として、残りの給付日数の50〜60%が支給されるので覚えておきましょう。

公務員に支給される退職手当

公務員の退職手当は、長年の勤務に対する報酬として支払われる手当です。以下の内容を詳しく解説します。

  • 退職手当の支給基準と受給条件
  • 退職手当の計算方法
  • 退職手当を受け取る際の税金の扱い

退職手当の支給基準と受給条件

退職手当の支給額は、主に勤続年数に応じて決まり、長く勤めるほど、支給額が増えます。受給には一定以上の勤続年数が必要です。短期間で退職する場合や懲戒免職の場合は支給されません。地方公務員と国家公務員でも基準が異なります。

退職手当の計算方法

退職手当は給料月額と勤続年数をもとに算出します。計算式は「給料月額 × 勤続年数に応じた支給率」です。勤続年数によって支給率が変動し、20年以上25年未満の場合は36.57月分です。退職事由や特別昇給、加算措置によっても調整が行われます。

退職手当には最高限度額が設定されており、民間企業の退職金平均の2倍を超えないよう調整されます。以下の点にも注意が必要です。

  • 職務の級や号俸によって基本給が変動する
  • 勤続年数の計算では1年未満の端数処理がある
  • 退職手当の一部前払い制度を利用した場合は影響がある

再任用職員の場合は特別な計算方法が適用されます。共済年金との調整も行われるため、実際の受取額は個々の状況によって変わります。

退職手当を受け取る際の税金の扱い

退職手当は一時所得として課税対象となりますが、全額は課税されません。退職所得控除額を超える部分に対して課税が行われ、控除額は勤続年数に応じて増加します。具体的な計算方法は以下のとおりです。

  • 退職所得の金額の2分の1に税率を適用
  • 源泉徴収後、残額を支給

退職手当の受け取り方によっても税金の扱いが変わります。退職手当の一部を年金として受け取る場合は、雑所得の扱いです。確定申告で精算もできますが、退職手当が高額の場合は累進課税の影響を受けます。退職年度は他の所得と合算されないのも特徴です。
» 教員の退職金|影響する要素や相場、税金について解説!

公務員が退職手当を受け取る方法

公務員の退職手当受給の手続きは、退職日から1か月以内に完了させましょう。退職手当を受け取る方法について解説します。

  • 必要書類の準備と取得方法
  • ハローワークでの手続きの流れ
  • 申請後の流れと注意点

必要書類の準備と取得方法

手続きを進めるために、以下の書類を用意してください。

  • 退職証明書
  • 雇用保険被保険者証
  • 本人確認書類
  • 印鑑
  • 預金通帳
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 住民票
  • 年金手帳
  • マイナンバーカード
  • 写真

各書類は退職時や退職後に取得できます。退職証明書は退職時に勤務先から発行されるため、忘れずに受け取りましょう。住民票は必要に応じて取得します。写真は、最近撮影した3×4cmサイズのものを用意します。準備に時間がかかる書類もあるため、早めに確認して取得を進めましょう。

ハローワークでの手続きの流れ

ハローワークに到着したら、受付で手続きを始めます。求職申込書と失業認定申告書へ正確に情報を記入した後、職業相談が行われます。あなたの希望や経験にもとづいて、適切な求人情報の提供や就職支援を受けましょう。最後に失業の認定と受給資格の決定が行われます。

申請後の流れと注意点

最初に行われるのは申請書類の審査です。受給資格が認められた場合は失業認定日の指定があり、失業給付の支給が開始します。支給開始後は、4週間ごとの失業認定日にハローワークへ来所し、失業の状態を申告してください。就職活動状況の報告も必要です。再就職した場合は速やかに届け出ましょう。

受給期間中に気をつけるべき点は以下のとおりです。

  • 一時的な仕事をした場合は収入申告をする
  • 病気やけがで就職活動ができない場合の延長手続きをする

虚偽の申告や不正受給は罰則の対象となるため、適切に手続きを行いましょう。

公務員が退職手当と失業保険の差額を受け取る方法

公務員が退職手当と失業保険の差額を受け取る方法について、以下の3つを解説します。

  • 差額が出る場合の確認方法
  • 差額を受け取るための手続き
  • 差額を受け取る際の注意点

差額が出る場合の確認方法

退職手当の金額と失業保険の基本手当日額を比較してください。退職手当の金額は、人事部門に問い合わせれば確認できます。失業保険の基本手当日額は、ハローワークのウェブサイトにあるシミュレーターで概算を算出しましょう。

退職前にハローワークに相談して差額の有無を確認することも可能です。正確な差額は申請後に確認をしましょう。

差額を受け取るための手続き

退職手当を受給した後は、ハローワークで求職申込みを行いましょう。失業認定申告書を提出し、失業の認定を受けた後は、基本手当日額の計算を行います。退職手当との差額がある場合は、失業給付申請書を提出しましょう。申請が認められれば、差額分の失業給付金を受給できます。

給付期間中は定期的な失業認定を受けながら、求職活動を継続してください。

差額を受け取る際の注意点

差額の金額は正確にチェックしましょう。間違いがあると、後で問題になる可能性があります。退職証明書や雇用保険被保険者離職票、本人確認書類などが不備なくそろっているかも確認してください。

期限を過ぎると差額を受け取れません。自己都合退職などは、一定期間給付が制限されるため、給付制限期間も確認が必要です。再就職した際は速やかに報告しましょう。報告が遅れると不正受給とみなされます。税金の扱いについても確認してください。

差額の受給が所得税の対象になる場合もあるため、事前に確認しましょう。

公務員が退職後に考慮すべき経済的な準備

公務員が退職後の生活を安定させるには、経済的な準備を事前に行うことが重要です。退職後は収入が現役時代より減少することが多いため、収支の見直しや資金の活用方法を計画的に考えなくてはいけません。公務員が退職後にするべき準備は、以下のとおりです。

  • 退職後の収入と支出を把握する
  • 退職手当の使い道の計画を立てる
  • 退職後の年金制度の確認と手続きをする

退職後の収入と支出を把握する

生活設計を考えるうえで、退職後の収入と支出の把握は重要です。収入源としては、退職手当や年金、再就職や副業による収入が考えられます。各収入の金額とどれほどの期間持続するかを計算してください。毎月の支出として考えられるのは以下のとおりです。

固定費
住宅費や公共料金、食費、保険料など
変動費
交際費や医療費など

毎月の支出項目を確認し、無駄な費用を削減する方法を考えましょう。通信費や保険料を見直すだけでも大幅なコスト削減が可能です。収入と支出のバランスを明確にすると、安心して退職後の生活を送れます。

退職手当の使い道の計画を立てる

退職手当は多くの場合、まとまった金額を一度に受け取るため、計画的に活用してください。退職後すぐに必要となる緊急予備資金を確保しましょう。半年から1年分の生活費を貯蓄すると、予期せぬ出費にも対応できます。退職手当の一部を資産運用に充てることも検討しましょう。

投資にはリスクが伴います。定期預金や個人向け国債、iDeCo(個人型確定拠出年金)のようなリスク分散ができる運用がおすすめです。無計画に使うと後々の生活に影響を及ぼすため、長期的な視点で使い道を考えましょう。

退職後の年金制度の確認と手続きをする

退職後の年金制度は生活の基盤となるため、事前に確認し必要な手続きを行ってください。退職時に、地方公務員共済組合から一般的な国民年金や厚生年金に移行するケースが多く、切り替え手続きが必要です。市区町村の年金窓口やオンラインの「ねんきんネット」で、受給開始年齢と予想される支給額を把握しましょう。

繰り下げ受給を選ぶと年金額を増やせますが、繰り下げした期間に生活費をどのように補うかも検討してください。手続きに必要な書類は以下のとおりです。

  • 年金手帳
  • 退職日が確認できる証明書類
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)

退職後早めに手続きを済ませると、年金の受給開始が遅れるリスクを防げます。健康保険や税金も考慮して、総合的に計画を立てましょう。
» 公的手続きも!教員が退職する際の手続きの流れと注意点

公務員の失業保険に関するよくある質問

公務員の失業保険に関するよくある質問をまとめました。退職を検討している公務員の方は参考にしてください。

  • 退職手当の受給期間延長は可能?
  • 期間雇用の公務員でも失業保険を受け取れる?
  • 自己都合退職の場合、支給額は変わる?

退職手当の受給期間延長は可能?

退職手当の受給期間延長は可能です。一定の条件を満たせば最長4年間まで延長できます。妊娠や出産、育児、疾病、負傷など、すぐに就職活動を始められない場合に適用されます。延長申請の手続きは、退職時または受給期間中に行ってください。申請には医師の診断書などの証明書類が必要です。

延長が認められても給付日数は変わりません。延長期間中は就職活動をする必要はありませんが、延長期間終了後に通常の受給期間が始まるため注意しましょう。延長申請は1回だけでなく、複数回行えます。状況に応じて柔軟な対応が可能です。

期間雇用の公務員でも失業保険を受け取れる?

期間雇用の公務員でも、条件を満たせば失業保険を受け取れます。具体的な受給要件は以下のとおりです。

  • 任期満了や予算削減による退職
  • 一定期間の被保険者期間
  • 雇用形態や勤務時間数の基準

自己都合退職の場合でも受給は可能ですが、給付制限がかかる場合があります。失業保険の申請はハローワークで行ってください。申請には離職票や身分証明書などの書類が必要です。受給資格の確認後、失業認定を受けて給付が始まります。

非常勤職員や臨時的任用職員も対象となる可能性があるため、詳しくはハローワークに確認しましょう。

自己都合退職の場合、支給額は変わる?

自己都合退職の場合、通常よりも支給額が減額されます。3か月間の給付制限が設けられ、受給開始が遅れますが、給付日数自体は変わりません。具体的な減額率は状況によって異なります。家族の介護や妊娠、出産、育児、ハラスメントなどの正当な理由なら、通常通りの給付を受けられる可能性もあります。

退職理由の確認は厳密に行われるため、自己都合退職の場合は注意が必要です。

公務員退職後、何を優先して手続きすべき?

退職後は、生活基盤を安定させるための手続きを迅速に行いましょう。以下を優先して手続きしてください。

退職手当の受け取り
勤続年数や退職理由に応じて支給される退職手当の申請
健康保険の切り替え
公務員共済から、国民健康保険や新しい職場の健康保険への切り替え
年金の切り替え
無職期間が続く場合は、厚生年金から国民年金への切り替え
共済組合の継続利用
医療補助や貸付制度など、退職後も利用できる福利厚生がないか確認
ハローワークでの求職登録
再就職を目指す場合、ハローワークに登録し、職業訓練や求人情報を活用
税金関連の確認
退職手当にかかる所得税や住民税を確認

退職後の生活基盤を整え、スムーズに新しい生活を始めましょう。

まとめ

公務員は一般の会社員とは異なり、失業保険ではなく退職手当を受け取ります。退職手当を受け取るには、必要書類の準備やハローワークでの手続きが必要です。失業保険との差額が発生する場合は、失業保険を受け取れます。

期間雇用公務員や自己都合退職の場合は、特別な条件があるため注意してください。退職手当の受給期間延長についても確認しましょう。退職手当の支給基準や計算方法、税金の扱いなどを正しく理解し、安心して次のステップに進む準備を整えましょう。
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